建築するということ

しく、機能的で独自性のある街並みや建築、つい数十年前まで日本にもこのような街並みが多く存在しました。地方を旅行したとき、その独自性に触れることが出来、旅情をおおいに掻きたてたものです。
 今は、文明の進化に伴い日本中の建物や街並みが均一化しています。建物が建つ環境、住む人、使う人たち、建物の機能により、もう少し独自性が求められても良いのではないでしょうか。住宅であれ、オフィスビルであれ、病院であれ、美術館であれ、工場であれ、環境になじみ、美しく機能的でありたいと思います。人間が使うということも忘れてはならないことだと思っています。

住宅は、特に住み手のライフスタイルにあったものとして計画したいと思っています。納得のいくまで検討を加えるべきです。考えることに少し時間をかけても、数十年もしくは一生をここで過ごすと考えれば、決して無駄なことではないです。予算がないからといって適当にそこらで買ってくればよいというものではありません。ローコストであれば、それなりの解決策があるはずです。そのようなことを考えながら設計活動を行っています。
 私にとって住宅の設計は楽しく、好きなもののひとつです。何故なら、多くの人達と出会い、その人達の考え方に触れることが出来るからです。住む人の考え方が分からなければ住宅の設計は大変難しいと考えています。住宅とはきわめて個人的なもとだと思います。ですから、住宅の設計は建て主と話し、考え方を知ることから始めます。

一般建築、ここでは住宅以外の全ての建物をさしています。住宅と比べると客観性の強い建物と言えるでしょう。どうせ建てるなら、同じ資金を使うなら、美しく機能的でありたいものです。感動に値する建物は、空間構成がよく、私たちに何かを語りかけてくれるような気がします。
 時間が経過しても新鮮さを感じることが出来ます。歴史に残る建築物は、数十年・数百年経た今でも、多くの人たちが惜しみない感動を覚えます。また、建物の良し悪しは必ずしも単価に比例するものではないと考えます。一人の建築家が一生のうちに創れる建築の数はそれほど多くはありません。だからこそ、ひとつひとつを大切に感動のできる建物を創りあげたいと考えています。そして、少しばかりでも街が美しくなり、環境がよくなることは私にとって至上の喜びです。

株式会社中森紫光建築工房

Copyright 2019 Shiko Nakamori & Associates, All Rights Reserved.