No.2 建物の中の有害物質  その2

2000.11.01

 人間の体には、化学物質が体内に侵入した場合、それを解毒しようとする能力があるが、許容量を越えると、その物質に対して異常な反応を示すようになる。このような症状を「化学物質過敏症」と言われている。頭が重い、のどの痛み、手足のしびれ・・・・などさまざまな症状が現れるといわれている。

 1960年代になると高度経済成長期が訪れ、新建材と呼ばれる多くの建材がでまわるようになった。そのような中で今最も多く使われている建材の一つに合板がある。木目の壁、扉、床のフローリングなどのほとんどがこの合板に薄くスライスした木や塩化ビニルに木目のプリントをしたものを張り付けている場合が多い。この合板は薄くスライスした木を何重にも重ね、大量の接着剤で張り合わせたものである。この接着剤に最近よく耳にするホルムアルデヒドが含まれている。F-0と呼ばれる有機物質の量が微量とされる合板があるが、高価なこともあり一般的にはあまり普及していない。
 多くの家で使われている塩化ビニルクロスは施工性がよく、安価であることよりすっかり定着しているが、ビニルクロスをやわらかくする為の可塑剤に発がん性物質が含まれている可能性があるということで新聞紙上でも大きな問題となった。また、塩化ビニルは燃やせば猛毒のダイオキシンを発生する。前回も述べているが、このような建材を使用しなければならない場合は、少しでも人体に害を与えないような対策を考えなければならない。効果的な放出方法としては、30℃程度で、部屋の容積で0.3回/時間以上の新鮮外気を取り込むと空気質は確実に改善されるという報告があるそうです。

 このように私たちの周りには多くの有害物質を含む建材が存在する。家造りは、このようなことをよく理解した上で、取り掛かりたいものである。健康を害するものは、真っ先に排除しなければならないことだが、それ以外にも住まいは、住む人の生活スタイルに大きな影響を与える。大金を払って造る住まいである。時間をかけても、自分の満足のいく安全な家をつくりたいものである。


参考のため、VOCを放出するものを箇条書きにした。
1 接着剤 合板、集成材等
2 可塑剤、防カビ材、難燃剤 壁紙(塩ビクロス)
3 溶剤 塗料(一部を除く)
4 防ダニ材、抗菌材 カーペット類
5 殺虫剤 衣類の防虫、殺虫スプレー、畳
6 抗菌剤 掃除機、エアコン、カーペット、カーテン
7 難燃剤 カーテン、一部の建材
8 坊蟻材 白蟻駆除

注:上記のものが100%VOCを放出するということではない。一部では安全なものも出回っているということを付け加えたい。